☢ Low-Dose Radiation ☢ NEW A-Bomb Study


Uploaded by GoddardsJournal on 15.05.2012

Transcript:
日本の原爆被ばく生存者について画期的な研究が、新たに発表されました。
その研究は、発ガンの危険性が低線量で存在するだけでなく、ある部分においては高線量よりも危険性がより高いかもしれない、
という最も有力な証拠を示したのです。
また、電離放射線が循環器系、呼吸器系、消化器系組織での
ガン以外の疾病と関連していることも示しています。
このビデオでは、この新しい研究結果を使って、線量による影響が直線的か非直線的であるかを検証し、
原爆被ばく生存者群についてのいくつかの一般的な誤解について述べたいと思います。
1947年、広島・長崎に原爆が投下された後、
米国科学アカデミーは、日本の原爆被ばく生存者の健康への影響を研究するため、
「原爆傷害調査委員会」を設立しました。 1975年に、その委員会は
日本政府と連携して、「放射線影響研究所」とその名を改めました。
この研究所は今までに、原爆被ばく生存者の健康状況について14の報告書を
発表しています。
研究所のウェブサイトを見ると、彼らの研究は、原爆投下以来何十年にも渡り
放射線由来のガンによる死が確実に増えていることを示しています。
また発ガンの危険性と放射線量とのグラフに、放射線に害の無い量など無いことが示されています。
それは、しきい値のない線(あるいはLNTモデル)と正に一致するものです。
研究所の2012年の新しい研究報告でも、原爆被ばく生存者群の継続的データが、
健康被害と線量との間に直線関係があること、また、ある線量からは無害であるというような、しきい値がないことを、
引き続き確認しています。
ここに示した直近の原爆被ばく生存者群の線量反応グラフは、
1950年から2003年の期間を網羅しています。グラフは、
下のX軸で表される線量が増加すると、
右側へ伸びるY軸で表される発ガンの危険性が増えることを示しています。赤線は、放射線量が増えると、
正にガン発症のリスクも増えるという直線モデルの傾斜を示しています。
直線モデルが全線量の領域にうまく当てはまる一方で、
小領域では完全には当てはまっていません。著者らは、0から2グレイ(シーベルト)まででは、上向きの曲線傾向があり、
最近になってそれが有意性を持つに至った、と報告しています。
彼らはまた、低線量の部分ごとでのより高い危険性も報告しています。図5では、
それぞれ線量ごと1シーベルトあたりの超過相対危険度を示しています。一番低いデータは、20ミリシーベルトで、
これは日本政府が福島県で安全な限界として定めたレベルです。
明らかに、このレベルが無害だと考えるべきではありません。著者は、
データの非直線性に因果関係の説明はできないものの、少なくともこれらのデータから、
低線量の放射線が無害ではないと記しています。
もう一つの重要な発見は、循環器系、呼吸器系、消化器系組織での 0:04:39.250,0:04:46.250ガン以外の疾病と放射線との間に見られる増加関係です。
図6のグラフで、固形ガン(白血病以外のガン)と、ガン以外の疾病の双方の線量反応の曲線が、
研究を通してどのように移行していったかを著者らは示しました。
点線は1950-1965年の線量反応を示し、実線は
1966-2003年の線量反応を示しています。固形ガンとガン以外の疾病が、
全体的に優勢な特質として浮かび上がって来ました。
1950年から1965年の間に、ガン以外の疾病に、
(危険性よりも放射線が健康によい効果を生むと言われる)ホルミシスのような沈みが低線量で見られるのは奇妙です。つまり、低線量被爆した原爆被ばく生存者群では、
その15年間に予測されていたよりも、ガン以外の疾病の発症が少なかったということを意味しています。
この結果は、放射線ホルミシスとして知られる理論と一致します。しかしながら、続く30年間で、
ホルミシスを示すものは、厳然たる有害な直線の中に消えてしまいました。
線量反応の非直線性を更に掘り下げ、2000年に研究所が行った、
端数処理した0から500ミリシーベルトの範囲の研究を考察してみましょう。移動平均の線量反応曲線です。
これが、研究所による2012年現在の線量反応の図です。
直線傾向の傾斜が下がっているのが見て取れます。これは主に、
2003年に追加された、生存者の予測被ばく量の調整によるものです。
そしてこちらは、新しい線量反応グラフの3つの移動平均で、
全体の中から低線量の部分を拡大したものです。
データの点は生存者群の年齢と共にその比例位置を変えていますが、
低線量での2つの曲線は似たような2つの頂点と2つの沈み込みのある形を保っています。
低線量の放射線が有益であるというホルミシスの理論を主張する者は、
リスクが0に落ちる110ミリシーベルトあたりの部分的なデータのみを使っているのです。
これが有益な線量だと言えるのでしょうか?
2000年に研究所は、新たに広島と長崎の別々の放射線反応グラフを発表しました。
ご覧ください。長崎のみの対象群に50ミリシーベルトのあたりでリスクゼロ以下の沈み込みがあるのを。
逆に広島の対象群は50ミリシーベルトのあたりに
盛り上がりがあります。
そして二つの対象群をひとつにすると、長崎のゼロ以下の沈み込みが消えてしまうのです。
次に対象群の大きさが線量反応の直線性にどのように影響するか見てみましょう。
このように長崎だけのグラフでは明らかに直線ではありません。もし長崎だけが我々が持っているデータなら、
我々は、一定の低線量ではガン発症リスクが減るかもしれないと思うかもしれません。しかも
750ミリシーベルト以上では、もはやリスクは増えないと。
しかし、広島の対象群は長崎に比べ規模が二倍以上の大きさで、
ゼロ以下のリスクというものはなく、リスクは750ミリシーベルト以後も上がり続けるのです。
全体として曲線はかなり直線に近づきます。
ではここで、最も高いレベルのデータに移りましょう。広島と長崎二つの市の対象群を一つにまとめると
長崎よりも三倍も規模が大きくなります。ここで線量反応における最も直線性のあるグラフを
見ることができます。
三段階目になり、対象規模が大きくなるにつれ一貫して直線性が増していきます。
直線性とこの統計の検出力とを合わせ見ると、放射線反応性が
全体的に直線であることがよく分かります。しかし、2012年の研究で正に見たように、
2000年からの研究で最も低い線量のところで直線と異なるグラフの盛り上がりが見られたのでした。実際に
線量の低い部分で盛り上がりは広島、長崎の両方で見られます。この時間経過と対照群のサイズが示す一貫性は、
低線量の末端において直線と異なる線量反応があることを
示唆しています。
さらに、遺伝子の受けるダメージが、最も低い線量においてむしろ高いことが発見されたことは、
低線量の領域で高線量よりもっと害があるという推論を
裏付けています。
しかし、最近の研究の著者が記しているように、この非直線形の意味は分かりません。
放射線の複雑な影響や本質的なものを反映しているかどうかはともかく、
この非直線形がゼロリスク以上の地点でほとんど常に起こるため、
低線量放射線に害がないという主張を明確に退けています。
これまで見てきた、原爆被ばく生存者の低線量放射線での危険性を示す明らかなシグナルが、
放射線の世界的な安全基準とリスクモデルの基盤となるのです。
それにも関わらず、ある専門家は、原爆被ばく生存者対象群には、
100ミリシーベルト以下では害があることを示す証拠は何もない、
なぜならその範囲でのデータが統計的に有意ではないからだと主張しています。
例えば山下教授やアリソン教授がその例です。
多くの放射線に一般の人々をさらしてもかまわないと唱えています。
アリソン教授:「実際にひどく被ばくした人とそうでない人を比較するためには
沢山の数が必要です。この種のデータでは、
広島と長崎の生存者から最も重要なものが得られます。(略)
100ミリシーベルト以下の放射線の被ばくした人は、この大きなデータを以てしても
その過剰リスクは、一貫してゼロなのです。(略)ですから、100ミリシーベルト以下は一時的で急激な線量であって、
放射線のリスクなど無いことは、全く疑うべくもなく
明らかです。」
イアン:彼らが根拠として用いるデータを検証してみましょう。
アリソン教授が講演の中で使った資料は、原爆被ばく生存者群の固形ガンの死亡者数で、
以前から公表されているものです。データ表では、放射線量に応じてガン死亡者数を分類してあります。
100ミリシーベルト以下を二つに分け、緑色で示します。
そしてこちらがそのデータをグラフ化したものです。安全と言われる、問題の100ミリシーベルト以下の範囲に
緑色をつけました。統計的に有意とされる値を無作為に抽出したpとし、
様々な状況の下でのその範囲を0.1から0.01とします。
疫学調査の分野においては、このpの値に通常0.05を使います。この調査で0.05を使うと、
山下氏やアリソン氏が述べているように、5から100ミリシーベルトでは統計的に有意ではない、となるのです。
それでも放射線の危険性を示す数えきれない程の根拠があるため、大多数の科学者の意見は、彼らの主張によって
揺らぐことはありませんでした。
例えば、このpの値が何を意味するか考えてみましょう。二つ仮説が考えられます。
帰無仮説と言われるもので、H0(またはERR)が、危険性がゼロかゼロ以下です。
言い換えれば、H0は、5から100ミリシーベルトは
害がないということです。 0:14:16.279,0:14:23.279ここでpが意味するものは、H0が正しいとされる確率は10%であるということです。
だとすると、pの値のもう一つの仮説、リスクゼロ以上とするH1が、
正しいとされる確率は90%になります。言い換えれば、
5から100ミリシーベルトの放射線有害であるという確率が90%であるということです。
もし雨の降水確率が90%だったら、あなたは傘を持って出かけますか?もし10発の弾丸を装填できる回転式連発ピストルに
9発の弾丸が残っていたら、あなたはその銃で罪のない人を狙って引き金を引きますか?
道理をわきまえている人間であれば傘を持って出かけるし、倫理観のある放射線対策の専門家であれば、
人々の安全を脅かすようなロシアンルーレットのような行いはしないでしょう。
原爆被ばく生存者を研究した放射線影響研究所の二人の科学者が 0:15:21.170,0:15:27.339100ミリシーベルト以下の放射線について質問された時に、大多数の意見として述べた言葉を
以下に引用します。
「現在利用可能なデータの下で、
低線量放射線のある範囲についてのみ注目した時、
統計的な有意性が不足しているからという理由で
危険性はゼロだとする見解は、充分な統計的解釈でも
賢明なリスク評価でもない。」